今回訪れたのは、北部をティレニア海、東部をイオニア海、そして南部を地中海によって囲まれた、イタリア一煌めく太陽と青い海が似合う島シチリア。

アラブ人が827年に東ローマ帝国だったシチリアを侵略してから千年間に渡りここは戦いの場となりました。そしてこのような歴史的背景から数々の異文化が戦いの痕跡として残り、それと同時に各地で多様な食文化が開花し、魅力的なシチリアという島ができあがりました。葡萄品種もギリシャやアラブからきたものが土着品種として根付き、現在のバラエティに富んだシチリアのワイン文化の基礎を作り上げてきました。

そんな魅力あふれるシチリアワインの中で特にコストパフォーマンスに定評があるワイナリーといえば、そう、ここ「ヴィラ・トニーノ」！
1875年、シチリアの西部マルサラでクラトロ家によって創業された歴史深いワイナリー。
「土着品種をモダンな味わいで、しかも適正価格で世界に通用するワインを造る」というプロジェクトに醸造コンサルタントのアルベルト・アントニーニが参加して産み出されたブランドです。
ところで、アルベルト・アントニーニとは？
世界各国を飛び回り、数多くの有名ワインの醸造に携わり｢天才醸造家｣とも呼ばれているすごい人なんです！
近年、高額なシチリアワインも増えてきた中において、「シチリアは安くて美味しいワインが魅力的な産地」だということを改めて認識できるワインではないか思います。

別名カラブレーゼ（｢良い葡萄｣を意味するギリシャ方言のカラヴリジが語源）ともよばれる、シチリアを代表する土着品種「ネロ・ダーヴォラ種」。色が濃く酸も強く、黒系果実の風味としっかりとした構造をもつこの葡萄からはフルボディのワインが作られます。
気候に恵まれたシチリアではジャミーなワインになりがちですが、それを飲み心地よく、驚くほどエレガントに作り上げるのがアントニーニ・スタイルなのです！
しかもこれだけ美味しくできたワインなのに価格は驚くほどお手頃だから、二倍感激です！

さっきまでギラギラと輝いていた太陽も西の空に沈みかけ、燃えるように真っ赤な夕空が広がってきました。今夜は、固い話や難しい知識は置いといて、愛する家族と、大切な友達と、大好きな恋人と、シチリアを感じる素敵なワインに酔いしれてみてはいかがですか？